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  第2回 「片田の自然大発見!」 片田公民館講座行われる

   平成23年2月20日(日)13時30分〜15時30分

「片田の自然大発見!」の第2回目の片田公民館講座が開催されました。今回は、三重県農林水産環境事務所の阿藤正樹さんが、「地域ぐるみでため池を活かそう」と題する講演を行いました。講演は、@岩田川流域のため池群の紹介、Aため池百選「片田・野田ため池群」の選定経過の紹介、Bため池の歴史と人物、Cため池のしくみと自然災害、Dため池を守る人々の恵み、Eため池保全から地域振興へ、という広い内容で、充実したものでした。

@では、「片田・野田ため池群」が、岩田川流地域にある多数(46カ所)のため池群の一角にあること、それら多数のため池群の写真と特徴を個別に示してくれました。

Aでは、「片田・野田ため池群」というよりは、「岩田川流域ため池群」とした方が良かったのではないかという感想を漏らされたことが印象的でした。

B岩田川流域のため池群は江戸時代の藤堂藩の新田開発に伴い設置されたものが多い。江戸時代の藤堂藩には優れた農業土木技術者がおり、西島八兵衛は雲出井開拓を行うとともに、香川県の満濃池の改修を行うなどの功績を上げている。また、明治・大正時代に日本の近代農業土木技術の先駆者となった上野英三郎博士(忠犬ハチ公の飼い主)が三重県津市久居から出ていることなどの紹介がなされました。

Cでは、阿藤さんの専門である、ため池の防災の農業土木的な側面からの話がありました。昭和25年のキジア台風による片田田中町のため池の決壊の生々しい写真も紹介されました。

Dでは、ため池の防災上、土手の草刈り、野焼きによる堰堤のひび割れの早期発見、土手の保全が非常に重要であることが強調されました。江戸時代以来、地元の農家の手によってずっと行われているため池の保全活動と水田耕作による貯水機能によって、岩田川下流にある津の城下町が洪水から守られ、現在も津市街が洪水から守られていることが紹介されました。


Eでは、岩田川流域には、これまで「近代水道百選」に選ばれた「片田貯水池」があり、今回の「ため池百選」とともに2つの百選が存在することになったこと、また、平安時代の英雄平清盛の父親である平忠盛の生誕地があり、また、山の神を祭る伝統的な松明(たいまつ)を使う行事が行われるなど、地元には様々な魅力的な側面があることが紹介されました。また、観梅、環境教育、ウォーキングなど様々な催しが行われており、これからも地元の資産を再評価し、地域興しをしていくことの大切さ話されました。

(写真:池干し中の池尻池。周囲の雑木林が紅葉している。)



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